当科のがん診療の特色胃がん
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当科の胃がん診療の特⾊
胃がん手術のほとんどを腹腔鏡手術で行っています
胃がんの手術は、通常、開腹手術もしくは腹腔鏡手術で施行されますが、腹腔鏡による胃切除は年々増加しており、最近では全国の胃がん手術の約半数弱が腹腔鏡手術で施行されています。
腹腔鏡手術は開腹手術と比較して以下の利点があります。
- 傷が小さいため術後の痛みが少なく、体に負担が少ない
- 合併症が少なく、入院期間が短い
また、がんの根治性(治りやすさ)は開腹手術と同等であるという結果が示されています。
一方で、腹腔鏡手術には高度な技術が必要とされており、ガイドラインにも内視鏡外科技術認定医の下での手術が推奨されています。
当グループでは県内では数少ない内視鏡外科技術認定医が複数名在籍し、安全で質の高い腹腔鏡手術を提供できるように日々診療に取り組んでおります。
その結果、現在では胃がん手術の95%前後と大半の胃がん手術を腹腔鏡で行っています。(図1)
図1 : 胃がん手術のアプローチ
胃全摘を減らして、可能な限り胃の温存に努めています
胃の上部に位置する胃がんや食道胃接合部がん(食道と胃のつなぎ目に発生するがん)に対しては胃全摘や噴門側胃切除(胃の上部1/3を切除)が適応となります。
かつて噴門側胃切除は術後の機能が悪いために敬遠されていました。しかし、近年術後機能性に優れた再建法が開発され、胃全摘に比べて食事摂取量の低下や体重減少などの胃切除後障害の程度が軽いことから全国的にも見直され始めています。
これによって当科でも2017年より腹腔鏡下噴門側胃切除術を再導入し、2020年には胃全摘率が10%未満まで減少しています。(図2)
図2 : 噴門側胃切除術の導入
高度進行胃がんに対しても可能な限り切除を目指しています
ステージ4胃がんに対しては通常、化学療法(抗がん剤治療)の適応で、手術療法の適応となる症例は少ないとされています。
一方、近年の化学療法の成績向上に伴い、化学療法で効果がみられた症例に対して根治を目指して手術を行う「コンバージョン手術」が注目され始めています。
当科では化学療法グループと連携しつつ、他院で切除不能とされた遠隔転移症例に対しても化学療法の効果がみられた場合には拡大郭清を伴う根治切除を積極的に行っています。(図3)
図3 : 大動脈周囲リンパ節転移症例
高齢でも安心して受けられる積極的な治療を行っています
近年、日本は超高齢社会となり、それに伴い高齢者の胃がん手術の比率が増加しています。当科でも直近3年の胃がん手術患者のうち、80歳以上の患者さんが30%近くに及んでいるのが現状です。
高齢の患者さんは、胃がん以外に心肺機能や脳血管に様々な病気を抱えていることも珍しくありません。当科では、大学病院である強みを生かし、胃がん以外の持病に対して全診療科と緊密に連携を取ることで、安全に配慮し可能な限り積極的ながん治療をおこなっております。
また、高齢の患者さんにも「腹腔鏡手術」や「胃の温存手術」など、患者さんの負担を極力減らす手術を施行しております。高齢の患者さんも胃がん治療でお困りの際はぜひご相談ください。