医療コラム
腹腔鏡折り鶴のお話
皆様は鏡視下のドライボックスで鉗子を用いて折り鶴を折る練習があることをご存知でしょうか。全国では静岡市立静岡病院外科の橋本洋右先生や福山市民病院外科の門田一晃先生などがメディアなどでも折り鶴トレーニングについて取り上げています。
文字通り鉗子で鶴を折るのですが、折り紙を扱うため愛護的に扱わないと破れたり、左右の鉗子を強調して動かさないとうまく折れません。最初は1時間かかっても折れない・つぶれたよくわからない物体が出来上がるなど、難易度は高いです。しかし、練習を重ねるときれいに折れるようになり、1羽にかかる時間も30分、10分、5分と短くなります。
重要なことは折り鶴が折れることではなく、折り鶴の練習を通して習得できる愛護的操作・両手の協調運動を手術で生かすことです。私は折り鶴の向こう側に患者さんの姿を想像し実際の手術をイメージして鉗子を動かすようにしています。他にも運針・結紮、Air surgeryなどのドライボックスの練習を行い、実際の手術を経験することで車の両輪のように、加速度的に鏡視下手術が上達すると考えています。
ちまたでは神の手チャレンジという腹腔鏡折り鶴の大会もあり2023年12月に第2回全国大会がありました。全国からマニアのような先生が集まり大変楽しい大会です。
手術トレーニングには様々なものがあり、その一つに折り鶴トレーニングがあるということを知っていただければと思います。
山口大学大学院医学系研究科 消化器・腫瘍外科
平成27年卒 外科専門医・消化器外科専門医
小佐々 貴博