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「内視鏡技術認定医」

山口大学消化器・腫瘍外科の医局員は、教室理念でお示ししている通り、患者利益を念頭に置いた先端医療の提供のために、高度な手術技術の確立を目指して日々研鑚に励んでおります。その中でも、基礎分野である外科専門医、消化器外科専門医の取得後に目指す資格の一つとして「内視鏡技術認定医」があります。

 

我々の専門とする消化器外科領域では、患者さんへの多くのメリットから、近年ますます内視鏡手術が普及してきていますが、それに伴って外科医には内視鏡手術の技術と知識に関する高度なトレーニングが求められます。日本内視鏡外科学会(Japan Society for Endoscopic Surgery、JSES)は国内において内視鏡手術を推進し、その技術の向上を図るために設立された学会で、「内視鏡技術認定医」の認定機関でもあります。

 

「内視鏡技術認定医」になるためには、一定の要件を満たす必要があります。これには、内視鏡手術の実施実績、トレーニングプログラムの修了、内視鏡手術に関する論文等の学術的業績などが含まれます。最も厳しいのは手術ビデオの審査で、実際の手術内容を複数の学会指定の審査員により評価されます。内視鏡下手術を安全かつ適切に施行する技術を有し、かつ指導するに足る技量を有していることを認められて初めて認定されますが、2022年度の消化器・一般外科領域では合格率は28%と、経験ある外科医にとっても厳しい関門として知られています。

 

こうして認定された技術認定医は、内視鏡手術分野で高度な専門知識とスキルを持つ医師として信頼され、治療成績も優れていることが示されています(コラム「胃がんの腹腔鏡手術を受けるなら、外科医を選ぶべき?」もご覧ください)。我々若手(中堅?)医師も、日々同僚同士や先輩後輩で手術の振り返りを行い、また診療の合間をぬってドライボックスでの手術トレーニングを行う等、絶え間ない手術技術の向上に心がけ、患者さんの期待に応える「内視鏡技術認定医」を目指して、日々努力をしています。