ロボット支援下手術とは

ロボット支援下手術とは、内視鏡手術支援ロボットを使用して行う新しい内視鏡外科手術です。
ロボット手術といっても、機械が自動的に手術を行うわけではありません。
患者さんの胸やお腹にあけた小さな穴から挿入した手術機器と内視鏡をロボットアームにドッキングして、医師が離れた操作ボックスの中で内視鏡画像を見ながら鉗子（かんし）やカメラを操作して手術を行います。
従来の胸腔鏡下手術ではその操作性の悪さから神経へのダメージが危惧されていました。
ロボット支援下手術では高画質で立体的な3Dフルハイビジョンカメラ（内視鏡）を使用することで、手術部位の細かな解剖までより判別しやすくなりました。また、専用の鉗子は、人間の手以上によく曲がる多関節機能があり手ぶれも制御できるため、狭くて深い体腔内でも、繊細で正確な手術操作が可能です。
ロボット支援下手術は従来手術の欠点を補って精密で愛護的な操作により神経機能を温存しつつ根治性を高めることが期待されています。

当科のロボット支援下手術

消化器外科領域では2021年現在、食道がん、胃がん、直腸がん、膵臓がんの手術に対して保険収載されていますが、ロボット支援下手術を保険適用で行える医療機関は、厚生労働省が定める施設基準を満たしていなければなりません。
当科では胃がんに加えて2020年から食道がんにもこの手術を導入して保険診療でロボット支援下手術を行っています。この手術の実施には単にロボット手術器機の設置だけでなく、専門性の高い知識や技術、経験が必要です。
当科には内視鏡外科技術認定取得医（日本内視鏡外科学会）、食道外科専門医（日本食道学会）、高度技能専門医（日本肝胆膵外科学会）が在籍しており、安全な内視鏡外科手術を実施しています。ロボット支援下手術の導入によりさらに高水準でからだに優しい手術を提供して、がんの治療の向上に貢献したいと思います。